母と娘の愛のカタチ

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まだ、ガルエージェンシー埼玉南を三郷市でやっていた頃のお話。

もう10年以上前でしょうか。

ある、40歳代の女性から受けた依頼でした。


依頼者はバツイチで足立区の団地住まい。

高校3年生の娘と二人暮らしをしていました。

区からは生活保護を受けて生活しているとはいえ、かなり大きなテレビや食洗機、二人暮らしとは思えないほどの冷蔵庫・・・


離婚後に、ある男性と知り合い、ある程度交際していました。

その男性からは、毎月10万円の援助を得ていたらしいのですが、ある日突然音信普通になったので、探して欲しいとの依頼内容でした。


見積もりをし、何ヶ月間かは連絡がなかったのですが、お金が用意できたので依頼したいとのことで、再度訪問。

調査を引き受け、無事に発見。


それから数ヶ月、また彼が音信不通になったとのことで連絡を頂いたのですが・・・。


夕刻、久しぶりにご自宅に伺うと、お風呂上りの娘さんが、面談中のテーブル席につき、化粧を始めました。

・・・あれ？

最初に見た時とは随分と印象が違う。

『これからお出かけですか？』

そう聞くと、

「はい、お仕事なので。」


何とこの依頼者、自分の娘をキャバクラで働かせていたのです。

給料は全部母に渡す。

そこから、最低限に必要な金額を娘にこづかいで渡すというシステム。

それだけではない。

とても母親とは思えない、娘への問いかけ。

「○子、▲▲の面接、いつ行くの？」

『▲▲って、どんなお店なんですか？』

ソープランドよ。

キャバクラなんてたかが知れてるでしょ？

お金くれる、いいお客さんを何人もとっ捕まえられりゃいいけど、その力がないんじゃ仕方ないでしょ？

稼げるうちにたくさん稼いでもらわないと！


・・・。


自分は働かず、ふった男を追いかけるために調査依頼する。

自分の父親でもない男に夢中になっている母のために、身体を売って金を捻出する娘。

しかも娘さんは、母のためだから仕方がない、そう思っている様子なのです。

特に、反抗することもせず。

「今まで育ててくれましたからねー。」

なんてケナゲな。。。



まだまだ、探偵歴２〜３年目の頃でしたので、いちいち胸を痛めていましたねー。

それって、汚い金なのか、母を思う綺麗な金なのか。

振り込みではなく、現金で受け取る札束を見て、手の力が抜ける感覚。


あれから10年。

あの娘さんはどうしているのだろうか。。。


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